2020年11月1日〜11月30日に新宿「アートスナック番狂せ」の「熊手展」にて静岡遠州ならではの熊手を展示させて頂きました。
http://damonde.lomo.jp/tenguya/2020/10/22/kumade/
遠州八天狗熊手(えんしゅうはちてんぐくまで)
天狗の地と呼ばれる「遠州地方(静岡県西部)」。
遠州が遠江国(とおとうみのくに)と呼ばれてた時代から「遠江天狗」の群生地だった事もあり、数多の天狗伝説が残っています。
その中でも「大浜松鼻垂坊」を含む「遠州八天狗(遠州八坊)」と呼ばれる、古来から親しまれてきた天狗達を今回のテーマとし追いかけて来ました。
ちなみに「遠州八天狗」は資料によって「七天狗」や「十一天狗」であったり、時代によってラインナップも変化する事があったりだとか。
また各天狗の姿は本来の図柄ではなく、伝承やその地の印象を元に私なりに描き起こし「張り子」にしました。
張り子は縁起物などでよく見る「ダルマ」や「赤べこ」のように和紙で作った中が空洞の置物です。
静岡県浜松市に昔から残る文化であり、郷土玩具でもあります。
遠州の歴史と風土をかき集めた熊手を「天狗の羽団扇」に見立て、
悪を吹き飛ばし、福を寄せる静岡は遠州ならではの熊手に仕上げました。
天狗の風が皆様の追い風となりますように。
大浜松鼻垂坊
大浜松鼻垂坊は、静岡県浜松市の一部で親しまれる天狗の子供。
「浜松のてんぐちゃん」とも呼ばれ、「天狗の子供が遊びに来た場所には人が集まる」と語られる縁起物の象徴です。
山伏系の天狗の頭によく見る「頭襟」ですが、てんぐちゃん は浜松名物「うな重」をのせています。
浜名湖色のちゃんちゃんこ(地域によっては天竜川色とも呼ばれる)を着て、
梵天は、浜松の文化と繋がりの深い「蚕」の作った「繭玉」です。(三ケ日みかん大福説も有)
また てんぐちゃんが「遠州の空っ風」の象徴であるという噂も耳にします。
鼻がフニャンと垂れている「鼻垂天狗坊」をモチーフにした「浜松天狗張子」は、浜松の郷土玩具です。
「浜松の赤物」としての魔除けの役割と合わせ、揺らすと鼻がたれる為、「鼻たれる」が「放たれる」とも解釈され、「内に秘めたエネルギーの解放」や「インスピレーションの象徴」として、最近では物作り関係の方にも人気があります。
遠州の赤物「浜松天狗張子」
大浜松鼻垂坊をモチーフにした浜松の縁起物「浜松天狗張子」は、鼻が揺れるようになっていますので優しく触ってみてください^^
なにかご利益があるかも、、、
また携帯の機種によりますが、羽団扇にスマホをかざすと「天狗みくじ」ができますのでぜひ一度お試しあれ!
天狗の羽団扇(はうちわ)
熊手に見立てた「天狗の羽団扇」には遠州の「阿多古和紙」を使しました。
阿多古和紙は、静岡県浜松市天竜区を流れる一級河川「阿多古川」エリアで作られています。
江戸時代初期から始まり、450年以上の続く和紙作りです。
ちなみに、和紙の色は自分で阿多古川色に染めてみました◎
遠州七不思議の1つ「天狗の火」
静岡県西部地域には「遠州七不思議」と呼ばれる昔話が残り、その中の1つに「天狗の火」という話があります。
大まかには「天狗が漁をしている」という話で、遠州灘沿いでの目撃が多いそうです。
そこで私は、「遠州の天狗は魚が好き。」と仮定しました。
遠州の名物に、「もちがつお」と呼ばれる大変美味しいカツオがあるのですが、おそらく天狗もこれ狙いだったのでは?と睨んでいます。
4月5月に捕れるので機会があればぜひ一度ご賞味ください。
最後に
東京での展示は終わりましたが、制作にあたり大きなサポートをして下さったザザシティ中央館B1F「FUSE」様の玄関にしばらく飾らせて頂ける事となりました。
展示は、2020年11月1日〜11月30日の間です。
玄関はどなたでも入れますので、近くを通った際は覗いて頂けたら嬉しいです^^
その後は、2021年1月2日〜1月11日にカギヤビル「Rohan」にて開催する「新春!てんぐちゃん 展 〜丑〜 」に展示させて頂きます。
皆様が素敵な1年を送れますよう新年らしいオメデタイ展示にするべく、12月も気合い入れて制作をして参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。
詳細はまたお知らせしますのでお楽しみに◎